卸売市場流通についての諸問題

市場流通ジャーナリスト浅沼進の記事です

卸売市場の課題

東都水産のTOB成立−麻生グループ筆頭株主に

豊洲市場の一部上場水産卸「東都水産」(江原恒社長・資本金23億76百万円)に対する麻生グループ「ASTSホールディングス」のTOB(公開買付け)が成立し、東都水産普通株式の36.53%を所有する筆頭株主となった。 ASTSホールディングスは2020年11月9日に東都…

改正市場法と市場施設整備のあり方−サウンディング型市場と物流効率化が焦点に(下)

改正市場法と市場施設整備のあり方−サウンディング型市場と物流効率化が焦点に(上)の続き 3.「サウンディング型市場」とは何か 最近、卸売市場の再整備に「サウンディング型市場調査」の手法が使われ始めている。これは国交省が平成30年に出した「地方公…

改正市場法と市場施設整備のあり方−サウンディング型市場と物流効率化が焦点に(上)

(上下2回に分けて全国水産卸協会の会報「全水卸」2020年11月号に掲載された記事を掲載する) 2020年6月21日に改正卸売市場法が施行され、卸売市場の再整備についても新しい動きが始まった。 農水省の金澤正尚 卸売市場室長は9月に行った講演の中で中央卸売…

神明が東京中央青果に30%出資−神明グループ1300億円で全国3位に

写真右から握手する神明・藤尾社長と鈴木・中央青果社長、吉川・東果大阪社長。この三人が神明青果流通事業の中心となる 神明ホールディングスが東京中央青果発行済み株式総数の30%を取得する。神明の藤尾益雄社長と東京中央青果の鈴木敏之社長が2020年12月…

金沢市中央卸売市場再整備−公設維持・現在地建替え・花き市場編入が前提

コロナ禍の中で、改正卸売市場法を待って動き出した卸売市場再整備が全国に広がっている。卸売市場再整備にあたってのハード面の最大の課題は、PFI(民間資金の導入)である。民間企業からの企画・提案を待って再整備を行うプロポーザル方式は既に一般的に導入…

改正市場法下での市場整備−PFI導入と市場機能・市場外企業の共存

改正卸売市場法が施行されたことで、全国の公設市場で再整備の取り組みが増えています。ざっと挙げただけでも、 中央市場では、広島、姫路、金沢、浜松、川崎北部、奈良、和歌山があり、 公設地方市場では、飯塚、福山、尼崎、千葉、船橋、柏、木更津等の市…

令和3年度予算概算要求事業(2)水産バリューチェーン事業

令和3年度予算概算要求事業(2)として、水産庁関係の予算要求事業の中から「水産バリューチェーン事業」を紹介する。令和3年度予算概算要求額は 1,750(742)百万円。 (出典) 88.水産バリューチェーン事業 〈対策のポイント〉 競争力のある加工・流通構造…

令和3年度予算概算要求事業(1)食品等流通持続化モデル総合対策事業

令和3年度予算に対する農水省の概算要求が明らかになった。全体の概算要求は多岐に渡るので、その中から食料産業局食品流通課関連の概算要求を紹介する。 食品等流通持続化モデル総合対策事業は「新しい生活様式」となっているように、コロナ禍のもとで、特…

農水省組織再編−食料産業局は解体

2020年9月23日、農林水産省は自民党農林合同会議に対し2021年度予算に向けた組織・定員要求の説明の中で、新たに①輸出・国際局、②農産局、③畜産局、の三つの局を新設する組織再編案を示した。年内には決定し、令和3年4月1日からの実施を目指している。…

第22回ジャパン・インターナショナル・シーフードショー〜HACCPの講演を聞く

例年の三分の一規模で行われたシーフードショー 2020年9月30日〜10月3日まで東京ビッグサイトで行われた「第22回ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」に行った。コロナ禍で規模・入場者数は例年の三分の一となったが、それでも商談会などの機…

卸売業者が新しい機能を付加するか、あるいは新しい機能を持つ企業が卸売機能を付加するか

卸売市場は集荷と評価、分荷、決済、情報が市場機能の中心である。そして、この「卸売」機能を担う業者が卸売業者であり、この「卸売」機能を効率化するために、I T化や温度管理・保管・加工・配送など市場機能を付加する整備を推進してきた。 ところが、本…

令和2年度食品流通合理化の取組み

食品流通合理化検討会:資料 菅新政権が発足し、コロナへの対応と経済振興の両立が課題となる中で、食品流通もまた卸売市場法の改正に続き、漁業法、水協法の改正によって生鮮食料品の流通は大きく変わろうとしている。 なかでも改正市場法に基づく卸売市場…

卸売市場再整備に「サウンディング型市場調査」導入

サウンディング型市場調査を行う川崎北部市場(168,587㎡)ホームページより (参照)川崎市:川崎市中央卸売市場北部市場の機能更新に関するサウンディング型市場調査の実施について 最近、卸売市場の再整備に「サウンディング型市場調査」の手法が使われ始…

食品流通合理化検討会における市場施設整備の考え方

今後の市場機能はSCM中心(東京大田市場加工・荷捌棟) 前回、パーソナル情報システム(P J S)の「第33回生鮮流通フォーラム」を紹介した。金澤室長が講演した「改正卸売市場法の施行と今後の食品流通の合理化の推進について」は、改正市場法後の市場施設の…

パーソナル情報システム(P J S)の「第33回生鮮流通フォーラム」

パーソナル情報システム(P J S)の「第33回生鮮流通フォーラム」が2020年8月27日(木)・28(金)・9月4日(金) の3日間、オンラインLIVEで開催される。 8月27日のセミナーを聞いた。4月に着任しコロナ禍で思うような動きが制限されている農水省の金澤卸売市場…

平成 30年度仲卸、買参経営状況

気分だけでも涼しさを(三上市太郎撮影) 農林水産省食料産業局食品流通課卸売市場室はこのほど仲卸、売買参加者の平成30年度経営状況を公表した。 それによると、仲卸業者数は全ての部門で減少しているが、水産が&%減った以外は、青果、食肉、花き三部門…

新刊『 “適者生存”戦略をどう実行するか−卸売市場の“これから”を考える』を読む

市場流通ビジョンを考える会から「“適者生存”戦略をどう実行するか 卸売市場の“これから”を考える」(筑波書房:1000円+税)が出版された。東京聖栄大学の藤島廣二・常勤客員教授をメインに水産経済新聞の八田大輔、農経新聞の宮澤信一、ナチュラルアートの…

開設会社職員が加工会社社長兼任(下)−震災復興に向け奮戦する相馬市場加工

前回に続き、開設会社職員(相馬総合卸売市場株式会社主事)と加工会社社長(相馬総合市場加工株式会社)を兼ねる木幡洋平氏の寄稿である。 事業拡大 売上は上向き始めたものの、利益率にどうもつながらない。ここで、仕入れを見直すことにした。 現在の仕入…

開設会社職員が加工会社社長兼任(上)−震災復興に向け奮戦する相馬市場加工

改正卸売市場法によって開設者の責務は大幅に増えた。しかし、ここまでの開設者の責任は想定されていなかっただろう。相馬総合卸売市場(福島県日下石字鬼越迫)の小幡洋平氏は次の二つの肩書を有している。 相馬総合卸売市場株式会社 主 事 木幡洋平相馬総…

魚菜市場の破綻−ひだ高山中央市場

高山市公設地方卸売市場(ホームページより) 2020年6月21日の改正市場法施行日を迎えて、市場再編の動きが激しくなっている。 高山市公設地方卸売市場(岐阜県高山市問屋町6)は、卸2社がいずれも青果と水産を扱う魚菜市場だが、このうちの1社「ひだ高…

パーソナル情報システム「WEBセミナー」開催−「制度変更とIT戦略の方向性」

コロナ対応で新たなセミナーが模索されている (2019年に行われた生鮮流通フォーラム) 2020年6月25日、パーソナル情報システム株式会社(PJS)主催のWEBセミナーが行われた。 PJSは毎年2回、生鮮流通業界向けの無料セミナーを開き、毎回多くの業界関係者…

規制緩和と市場主義経済−コロナウイルスと食料安保5

漁業の活性化は食料安保に貢献する(小田原漁港・定置網) 食料安全保障と食料自給率について検討してきたが、国が目指す食料安保政策と密接な関係にあるのが市場主義経済の推進と、これに伴う規制緩和の政策、種子法廃止や種苗法改正案、さらにJ A全農改革…

種苗法改正と食料自給率−コロナウイルスと食料安保4

市場でもカット野菜に国産野菜が活用されている(岡山クラカ) 自給率目標は「平時の金額、緊急事のカロリー」 カロリーベース、生産額ベース、それぞれについて問題はある。 1.カロリーベースの場合 輸入による飼料がなくなった場合、国内の飼料で代替でき…

オークネットが砧花き買収−ネットオークション企業が中央市場卸に

市場は変わらなければならないと誰もが言う。問題はどう変わればいいかである。 2020年6月21日、改正市場法が施行された。改正市場法は既に一年前に成立しており、いわばこの一年は助走期間とも言うべき一年であった。 改正市場法は取引の自由化や市場再編…

食料自給率の考え方−コロナウイルスと食料安保3

小泉大臣はなぜ非難されたのか いつだったか、小泉環境大臣が国際会議に参加した際、前日にステーキハウスに行ったことを環境保護団体から批判されたことがあった。ステーキを食べることと環境保護はどう関係あるのか、すぐには分からなかったのだが、おそら…

開設者が決定的な役割−改正卸売市場法下における市場開設者のあり方

市場活性化への開設者のあり方が模索されている(横浜南部市場) 2020年6月21日に施行される改正卸売市場法は開設者のあり方にどのような変化をもたらすのだろうか。改正卸売市場法の施行は、市場のあり方の変化だけでなく、開設者のあり方、役割をも劇的に…

種苗法改正案は見送り−コロナウイルスと食料安保2

「知床晩鐘」三上市太郎・撮影 種苗法改正案の見送り理由について 黒川東京検事長の賭けマージャン問題など騒然とする中で2020年5月20日、突然、自民党森山国対委員長が国会に上程されていた種苗法の今国会成立の見送りを発表した。 種苗法については、いろ…

国会上程された種苗法改定案−コロナウイルスと食料安保1

種苗法の何が問題なのか 新型コロナウイルスの対応に追われている今国会に、日本の食料安全保障に大きな影響を及ぼす種苗法の改訂案が上程されている。 この改訂案はイチゴ等の優良品種の海外流出を防ぐことが法目的とされているが、同時に品種の育成者権を…

【寄稿】緊急事態だからこそ取り組める−卸売市場でドライブスル-販売を活用しよう

2020年4月25日N H Kで放映された高崎市場のドライブスルー販売 先に紹介した卸売市場におけるドライブスルー販売は各地市場に広がりつつある。 4月25日に実施した高崎市場の「関越冷蔵」米桝 秀二専務がまとめた高崎市場の取り組みと呼びかけを紹介する。 …

卸売市場のドライブスルー販売広がる

高崎市場のドライブスルー販売(2020年4月26日付け上毛新聞) 卸売市場のドライブスルー販売方式が広がっている。 明石市場、川崎南部市場、高崎市場などで始まり全国的に広まりつつある。 いずれも公設地方市場で、外出自粛で売上が急減している卸売市場業…